校長挨拶 森田祐二

“something”

森田祐二校長2021年度より関東学院中学校高等学校の校長を拝命いたしました森田祐二です。創立103年を迎えようとする歴史と伝統のあるキリスト教主義学校の校長として、さらに未来に向かって歩みを進める責任の重大さを強く感じています。

東京女子大学というキリスト教主義学校が東京にあります。初代学長はクリスチャンであり、札幌農学校で内村鑑三氏と同期でもある新渡戸稲造氏。そして第2代学長は安井てつ氏といい、女性に対して大学教育の問戸を開放し、キリスト教主義に立脚したリベラル・アーツ教育を行った女性です。

「ここで学んだ人にはわかる”something”がある」という安井てつ氏の言葉が、東京女子大学の伝統の一つとなっているそうです。“something”はキリスト教精神がもたらす自由な学びや、他者のためにという寛容さなど、キャンパス全体を包む独特な雰囲気を指し、今日まで受け継がれているのだと。そこで学んだ人には分かるキリスト教主義学校における学び、常に真理を探究しながら歩みを続け、簡単に答えはこれだと言わない、somethingがあるということです。

関東学院にもこのsomethingがあると私は感じています。他校にはあまり感じられない雰囲気、「キリスト教の香り」と言ってもいいかもしれません。友人といつも一緒にいると、その人に雰囲気や考え方が似てくることがあります。同じ学校にいれば、その学校の持つ雰囲気や精神と言うものが体に染み付いていくこともあるでしょう。それほどに「人になれ 奉仕せよ」というスクールモットーは関東学院に連なる人々の心に浸透しているのだと思います。

それはチャペル礼拝、聖書の授業だけでなく、日々の学校活動において培われた、「他者を慈しむ心、他者への愛」に他なりません。関東学院のsomethingは、それに触れた人が誰しもほっとするような、あるいはその生徒、そのクラス、そのチームから立ち上る独自の香り、共通の精神と言えます。

ここで学んだ人にはわかる“something”が、関東学院にはあるのです。